Nissan LPIE 事務局
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Director's Message

竹内佐和子

竹内 佐和子 (プログラムディレクター兼スーパーバイザ)

京都大学客員教授 
工学博士・経済学博士

21世紀は「知がリードする時代」です。新時代のリーダーは、効率性と規模の拡大をもっぱら追求した20世紀のパラダイムを脱却し、時代の方向性を大きく転換させるイノベーターとしての資質を備えることが求められています。この使命を達成するには、劇的に変化する環境の中で、持続的発展を望む社会のより高度なニーズを、身近な問題意識から正しく読み取り、それを社会に還元するための構想力を磨くことから始めなければなりません。

 過去のイノベーションは、ほとんど例外なく、独創的な超人の閃きから生まれたものでした。しかし、新時代のイノベーションは科学技術の成果を組織的に活用して、それを社会全体の進歩に結び付けるリーダーの能力におおきく依存しています。そのためには、生産システムがグローバル化する中で、環境悪化と地球資源の有限性を意識した上で、社会に眠っている資源を組織的に活用し、人類社会の利益に結びつけるための事業提案やコミュニケーション能力を身につける必要があります。

 Nissan LPIE は、自然科学の基礎を修得した若いエンジニアのために用意された文理融合型のリーダー養成プログラムです。自然科学の基本要素の分析にとどまらず、社会を動かす複雑多岐な社会的、政治的要因、さらには経済的要因を抽出し、社会的構造変化の未来を読み解き、それを具体的なプロジェクト提案に結びつける能力を養います。Nissan LPIE の大きな目標のひとつは、高度に専門化した科学技術の世界と社会の新たな接点を積極的に創出することによって、近未来の社会システムの全体像を描くことにあります。

 プログラムの流れは、約9ヶ月の実施期間に3回程度開催される短期集中型のインテンシブ・プログラムと、その間で自主的に行われる遠隔のグループ討論を通じて、プロジェクトの提案書を作成します。この提案書は、『サステイナビリティ & ヒューマニティ』の実現を織り込みつつ、科学的合理性と近未来の社会が求める価値を統合し、技術的な問題解決の方法も入れ込んだビジネスモデルとして記述することを想定しています。 その意味で、Nissan LPIE は、知識教育の場ではなく、参加者の問題意識、課題解決能力、コミュニケーション能力、社会的責任感、自立性の向上を養うための自主・実行型のプログラムです。

  人類が直面しているいまだ解決の目途が立たない困難な問題に立ち向かおうという高潔な志と、さまざまな分野の知識を縦横に結びつけるやわらかい知性の働きによって、『技術』、『企業』、『非営利組織』、『社会』のそれぞれの分野でイノベーションの波を起こし、新しい社会的価値を創ろうとする意欲に満ちた未来のリーダー達の積極的な参加を期待しています。